学生生活のDX
社会のあらゆることがデジタル化しているけれど、学生生活も例に違わず。私が学生だった頃も流石にPCはあったけれど、今から思えば単なるレポート執筆やネット検索のツールとして、だった。今はもうなんというか、根本的に違う!システムとしてあらゆることがデジタルで完結するようデザインされている。流行りの言葉で言えばDXなのだろうけれど、こちらの大学にとっては既に当たり前のことなので、transformationというよりは単なるデジタル化された学生生活、と言うべきなのかもしれない。
日本の大学と同じなのか違うのかわからないのだけれど、概要をまとめておく。
【授業関係】
- 基本となる学生向けの授業用ポータルがあり、先生方とのコミュニケーションは原則このポータルを通じて行われる。このポータルが要。履修登録をした授業が全て管理でき、授業の資料や課題は全てここにアップされる。DLも可。
- 例えば休講や授業時間の変更などの業務連絡もこのポータル経由。ちなみに使い勝手は悪いが携帯用アプリも有、通知が出るので、一応業務連絡を見逃さないようにインストールしている。
- 時間割もデジタル、自分のカレンダーアプリに同期可。
- 学生用eメールは付与されているが、内部ではほとんど使わない。(禁止されているわけではなく、先生方と授業以外の要件で個別に連絡を取る必要がある際は今のところメールを希望する先生が多い)
- 基本的に全部の教室に天井から吊り下げプロジェクターが設置されている。
- 今のところホワイトボードを使うような授業はあまりないが、ある場合には電子黒板は特になく、写真を取ってポータルから共有された。
【文献】
- 私が学生だった頃から比べて一番デジタル化を実感するのは文献。基本的に大学が契約しているあらゆるデータベースに自分の端末からいつでもどこでもアクセスできる。
- 授業で使うような論文は著名ジャーナルに掲載された論文が多いので、基本デジタルで入手できる。
- 紙しかないものでも図書館に所蔵されていれば借りたり、無料で図書館の複合機から自分でスキャンし、自分のメールアドレス宛にファイル送信できる(著作権の範囲内で利用)。なお紙コピーは有料。学生証にポータルからお金をチャージして使う。ということでこの三ヶ月間で約100本くらい論文/本を読んでいるけれど、一本/冊も紙版をプリント/買っていない。(個人的には紙のほうが読みやすいので、厳選して買おうかなとは思っている。)書籍代がかからないのはすごいことだと思う。
- 文献管理は大学が文献管理ソフト(Endnote)を契約しており、生徒にもライセンスがあるので、私は大学が契約しているものにスイッチした。
文献を読みながら勉強するのはこういう感じになる。
ちなみに生徒側の話でいうと、ノートテイキングはiPadでペンシルを使ってノートを取る子が多く、私の周りはWindowsの子は少数派。Windowsの子はMicrosoftのOneNoteでノートを管理する子が多い。私はPCはWindows、ノートテイキングは一覧性が欲しいので文献メモも含めて今のところアナログ派だけれど、文献が増えるに従って内容のキーワード検索もしたくなってきているので、今後の管理の仕方は思案中…。文献管理ソフトでしても良いのだけれど、まだ使いこなせていない。メモと言う観点では元々使っていたMendeleyの方がEndNoteよりも使いやすいような気がする。
【成績関係】
- レポート類の場合は授業ポータルから提出、直接提出は禁止されている。指定の締切時間を過ぎると自動的にアップできなくなる仕組み。なお本体に名前を書く場合と書かない場合があり、指示による。大学によると、ポータルは剽窃チェックをする外部ソフトと連携しており、先生方がチェックする前に剽窃チェックは専門部門によって自動で行われるようになっているらしい(剽窃の疑いがあれば先生方に連絡がある)。
- 試験の場合は、自分のPCに指定のセーフブラウザをインストールした上で、所定の試験会場でセーフブラウザ上で試験を受ける(PCのレンタルも可)。当日会場で試験のIDとパスワードがアナウンスされ、それを入力して回答する仕組み。なお会場入室時にIDの本人確認などがあり、セキュリティレベルはなかなか高かった。
- 先生方からのフィードバックやコメントも授業ポータルに戻ってくる。採点や成績に対して疑義があれば学生は所定の部署に訴えることができるようになっており(アカデミックハラスメントを所管する部門)、そのために先生方からの戻しも直接でなくポータルを介するのが義務とのこと。ちなみにこのアカデミックハラスメントの対応も非常に整っていて関心したので、いずれ書きたい。
- 確定した成績は専用のサイトにアップされる。同じサイトからいつでも大学の各種証明書(在学証明や成績証明)を各自DLできるので、インターンシップの応募など書類が必要な場合はそこから既成・入手する。
【学生生活】
- 以前セキュリティに関する投稿で書いた通り、学生証が校舎や教室のカードキーの役割を果たし、同時に図書館の貸出証にもなる。
- ちなみに学生証の申請はデジタルで完結。ポータルから顔写真をアップし申請する。学生証自体はリアルなカード型で、新学期の所定の期間中に事務室で受け取る。このときに公的な身分証明書を見せる必要があり、入学手続きを通じてリアルな書類の提示が必要だったのはこのときのみ。
【出願〜入学手続き】
- 出願はオンラインポータルから。個人アカウントを作成し、そこに必要書類をアップする。日本の成績証明書といった紙版の公的書類を含めて、スキャンした書類をアップしたのみ。後の原本提出も不要で、今に至るまで紙の書類は一枚も出していない。
- 結果はポータルに表示。合格の場合デジタルサイン入りの書類がアップされるとともに、見逃し防止のため登録メールにも連絡が来る。
- 進学を希望する場合はそのままポータル上で手続き完了(進学しない場合も同様)。大学に行く必要は一切なし。
とにかく完全ペーパーレスで、この8月末に入学してから大学側からは本当に1枚も紙の書類が渡されていないのではないかしら。
コメント
コメントを投稿