実践EBPMーー授業評価会議に参加してきた
通っている大学院の授業は必ず授業評価があり、成績評価がつく前にオンラインで回答する。プラスして、科目ごとに4〜5年に一度大掛かりな評価が行われるそうだ。昨年受講した授業がちょうどそのタイミングにあたるそうで、生徒側として参加しないかと連絡が来た。授業の担当教員、ティーチングに携わっていない教員、生徒各2名で評価会議をするとのこと。 今日がその会議だったのだが、これが実践・EBPMという様相で(対象は政策ではないが)とても興味深く、約2時間半の会議があっという間であった。評価や大学運営に関心がある方向けのピンポイントな投稿になってしまうかもしれないが、以下ポイントをシェアしたい。 (1)資料・議題 事前に授業評価会議の資料が送られてきたのだが、シラバスや講義資料のほか、学生の匿名評価アンケート結果や過去5年間の成績分布、先生の自己評価表、改善案などがまとめられており、どれもものすごく興味深かった。単に現場感覚に基づく教員の主観的評価に留まらず、教育学の知見に基づいて実施した教育手法(例えば生徒同士のpeer learning、インセンティブ設計など)が実際に機能したかしなかったか、その判断の要因分析なども書いてあり、これ自体が巨大な実験と実験結果の論文みたいであった。 他にシラバスと実際の教育内容が本当に一致しているか、参考文献が質・量において適切か、成績評価方法が適切か・透明性が高いか、最終成績の分布と照らして難易度は妥当か、社会情勢の変化を踏まえて教育内容に変更が必要か、なども検討される。 これだけ労力をかけるのだからそりゃ4~5年に一度で、普段はアンケート結果に基づく小規模な見直しというのも納得。 (2)参加者と会議 コースコーディネーター、担当教員、同じ学部のシニア教員、高等教育論のポスドク、学生(私)の構成。評価と、評価を踏まえて何を変え何を維持するかが主な議題。シニア教授の方の経験論と、ポスドクの方の研究を踏まえたFBが素晴らしい相乗効果を発揮していた。 例えばリーディングの量が適切かという問いがあれば、 まず主任教員が生徒のアンケート結果と、自己の見解をコメント。 学生(私)が見解をコメント。 興味深かったのはポスドクの人のコメント。例えばデンマークでは単位数に応じて生徒に求められるリーディングの量が決まっており、それを超えるには学生組合と協議・合意する