City Diplomacy(都市外交)

 外交といえば国の専管事項である、というのが日本での定説であったけれども、昨今存在感が増しているのが国以外の主体が行う外交であるnon-state diplomacy、その中でも私が特に関心を持ってみているのがcity diplomacy(都市外交)である。

メモ代わりにまとめ。

米国務省は2022年10月にthe Unit for Subnational Diplomacyを新設し、元ロサンゼルス市副市長のニナ・ハシガン氏(Nina Hachigian)を特別代表(Special Representative for Subnational Diplomacy)に任命した。国務省の任務は特に州や市による外交を支援することであり、法的根拠は2021年7月に採択されたCity and State Diplomacy Actである。Brookings研究所による意義と課題を解説した記事 "Partnership among cities, states, and the federal government: Creating an office of subnational diplomacy at the US Department of State"を読むと概要がわかりやすいと思う。

元々実務が先行したのでシンクタンクでの研究が盛んになり、還流するようにアカデミアでの研究も増えている。

Truman Center "City and State Diplomacy"

USC Center on Public Diplomacy "City Diplomacy"

Eurocities "City diplomacy in action"

日本では東京都の舛添知事(当時)が都市外交の必要性を提唱し、都も2014年に「都市外交基本戦略」を策定し活発に活動したが、舛添知事が公金利用に関するスキャンダルを受け辞任してからは積極的に都市外交という単語を表に出すことはなくなり、現在は2022年6月に策定された「国際都市戦略プロジェクト」推進方針(リンクはPDF)が基本戦略となっている。

他の都市では福岡市や横浜市等が海外と積極的に交流しているが、政策的には国際交流や姉妹都市交流、あるいはシティセールスを含む経済交流として整理されており、都市外交戦略として打ち出しているケースはないように把握している(もし都市外交戦略があれば是非知りたい)。

国同士の関係では様々な事情があって難しい動きが出来るのが都市外交である。日本では舛添知事のスキャンダルによって単語自体にすっかりネガティブなイメージがついてしまったように思うが、諸外国でその意義が改めてクローズアップされるのもヒントに、日本の都市の取組みも戦略的に評価する仕組みが出来ると良いのではないか。

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