最初のコースが終了
8月末から始まった最初のコースが今日で無事終了。
とても充実した四ヶ月間で、振り返ればあっという間だった。
読んだ論文/文献は最終的に104本/冊。
他に海外で高等教育を受けたことがないので比較対象がないのだけれど、おそらくアメリカよりは緩いのではないか…?という当初の印象はあまり変わらない。その分脱落させず、かつペースを保ってコンスタントに学べる授業設計だったように思う。とはいえ最後の1ヶ月は大体中三日ごとに5〜7本読んだので流石にちょっと息切れした。
勿論大学や専攻によって多少の違いはあると思うのだけど、学期初めにあった留学生向けのガイダンスセミナーによると、スウェーデンの大学教育は学生の自主性に任される部分が大きいとのこと。
そのガイダンス通り、私はtaught masterにも関わらず授業は基本的に週に2、3回のペースで、あとは自習に大きく依存している。この3ヶ月はすべて必修で計6人の先生が登場したが、SPSSを教えてくれた一人を除いてどの先生も懇切丁寧に教えてくれるというわけではなく、道先案内人という感じ。基本的な理論の概要と分野の発展、特に古典はレクチャーがあるが、それに対する反論や学術的な議論の流れは文献リストが提示され、それを読んだ上で生徒同士でディスカッション→試験なりエッセイ、という形。ディスカッションは学生同士なので文献とは違う方向に議論が展開することや、必ずしも深まらない場合もあったが、それはそれでよし、という感じのようだった。まあ正解のない分野なので、必要最低限がクリアできていれば良いのだろう。
私の専攻は分野横断的かつ現在進行系な領域なので、4ヶ月では到底何かをわかった!と言える次元にはなく、主要な関連分野の概観を掴み、超古典は最低限把握し、その上で今現在どこにどのような議論が存在するか、大まかなマッピングが完了、という感じだろうか。
ハナから一人で手に負える領域ではないのはわかっていたけれど、やはり広大だなあ〜というのが今の感想。
年明けから始まるモジュールではまた3ヶ月周辺領域を学び、その後にようやく深めるフェーズ、という感じ。いやはや、これを一年でやりきる大学院は一体どんなカリキュラムを組んでいるのだろうか…。
いずれにしてもこれまでは実務で言うなれば地上からアプローチしていたものに対して、大学院で学ぶことによって上空から鳥の目でマッピングができてきたことは嬉しい。これまでも意識してアカデミアの議論を掴むようにしてきたが、アクセスの限界もあって、ちょっと木に登ったり小高い丘から眺めていたに過ぎなかったことがよくわかった。
ただ地面の世界を知っている分、周りの学生より(テーマによっては先生よりも)相当解像度が高い。私には木になっているリンゴが見えるし、木の種類も判別できる。自由に飛ぶ高さを調節することもできる。
どうなることかと思ったけれど、着実に前に進むことができた4ヶ月だった。冬休みは積読を消化しつつ、来年に備えたい。
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